個人的なことなのですが、僕は過去に七夕の日に願い事が叶ったことがあります。
小学生のときに体験した“七夕の想い出”をさせていただきたいと思います。
事の発端は、私がまだ小学生だったころの父から始まり、その後の顛末は、その父が亡くなって10年後に、私の長男の何気ないような言葉で結ばれるまで...親子3代に渡る想い出の話です。
七夕の想い出〜短冊に願いを〜
あれは忘れもしない、小学校の頃の想い出です。
七夕の日の授業で担任の先生に言われて、生徒たちそれぞれの願い事を書いて短冊に綴っていました。
僕の書いた願い事は「カブトムシが欲しい」でした。
今から45年前くらい前、昭和53年(1978年)頃の東京は、そこいら中に空き地があったり、小さな畑などもありました。
アスファルトで舗装された道路ばかりではなかったので、雨の日は泥だらけになって遊んだりもしていました。
当時、【朝日農場】(たしかそんな名前だったと記憶していますが、違ってたらごめんなさい)という近所に野球場とちょっとした森林が生い茂っていた場所がありました。
現在は塚山公園という名称で、縄文時代中期の遺跡が発掘されていたことがわかっています。
※塚山公園ホームページ
※塚山公園Wikipedia
よくその場所に、友達と野球をしにいったり、クワガタやカブトムシを取りにいったりしていました。
クワガタは何匹か取れたものの、カブトムシがとれずにいたので「カブトムシが欲しい」は、当時の僕にとっては切実な願いでありました。
それまでも何度か授業で短冊に願いを綴っていましたが、願いが叶ったことはなかったので、期待はしていませんでした。
でも、その年の短冊に綴った願いは現実のものとなったのです。
今でも本当に信じられないことがその日、七夕の夜に起こったのです。
その日の夜、8時も過ぎて就寝時間となって布団に入った頃、帰宅した父が僕の名前を呼ぶのが聞こえました。
呼ばれるままに父のところへ行くと、父はなぜか虫かごを持っていました。
『大切にするんだよ』そう言って僕に虫かごを手渡してくれました。
何でも、その日の昼間にきたお客さんからいただいたそうで、中には念願の“カブトムシ”が入っていました。
『!?!!』
その時の喜びは今でも忘れられません。
今でも信じられないほどに衝撃的な“願いが叶った瞬間”でした。
カブトムシを見るのが嬉しくて、毎日学校から帰っていたのを覚えています。
「ずっとずっと...長生きして欲しい!」そんな想いで毎日世話をやいていた気がします。
でも、お別れの日はそれ程先のことではありませんでした。
ひと月かふた月後に、動かなくなったカブトムシを見たときは悲しかったです。
その時に思ったのが、僕が「カブトムシを欲しい」と短冊に願い事を書かなかったら....このカブトムシは、僕のところに来なかったら自然の中でもっともっと長生きできたんじゃなかったのかな?...でした。
嬉しかった分、悲しみやそんな感情も感じていました。
やがて時が流れて、僕も父と呼ばれるようになっていました。
少年の頃の、“七夕の想い出”は、ずっと心に残っていました。あの頃うちに来てくれた「カブトムシへの想い」と共に。。。。
僕の長男が高校生か大学生くらいだった時に、“七夕の想い出”を話したことがありました。
その時に感じた後悔にも似たカブトムシへの申し訳なく感じた感情も含めて。
それから暫くして息子から、“七夕のカブトムシ”の話だけど、きっと幸せだったと思うよ。と言われました。
僕が「なぜ?」と聞くと、「俺もあの話を聞いてカブトムシの成虫の寿命を調べたんだけど、1月〜3月程度しか生きられないらしい」
「成虫になってからどれくらい経ってからきたのか分からないし、きっとそのカブトムシは寿命を全うしたんだと思う」
「だから、それだけ想ってもらえて幸せだったんだと思う。」といわれました。
その言葉をいわれた時に、僕の中に刺さっていた骨が溶けていくような感じがしました。
子供時代から30年以上、ずっと心の中に残っていたあの日のカブトムシへの申し訳なく思っていた想いが浄化されていくようでした。
まさか自分が、まだ幼い子供の頃に父から授かった問題の答えを、30年以上の時を越えて息子に教えてもらうことになろうとは思ってもみませんでした。
カブトムシへの寿命など考えもしなかった自分にとって、息子の言葉は自分にとって『気付き』を与えてくれた言葉でした。
あの日、“七夕の願い”を叶えてくれた父が旅立ってから今年で15年になります。
自分も父として、また祖父母から受けた恩義を『恩送り』して参りたいと思った7月の某日でした。
あの七夕の日にカブトムシを持って帰ってきてくれた父は、2007年9月25日「中秋の名月」の日に旅立っていきました。
父の孫である私の長男が、カブトムシをもらった頃の私と同じ年齢の頃に。
何か不思議な縁(えにし)のようなものを感じた出来事でした。
最後までお読みくださってありがとうございました。
皆様にとって素敵な毎日でありますように願いを篭めて。
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