【ひとりで特許出願ー3“模倣から始める”<先人たちの礎>】
“模倣から始める“<先人たちの礎>
ほんの小さな一歩から始まって特許庁の門をくぐり、右も左も分からなかった自分に対して、優しく手ほどきをして下さった特許庁の職員の方々。
ご紹介いただいた<発明推進協会>(発明会館)そこでも素人丸出しだった自分に対して真摯に相談に乗っていただいたことには、とても感謝しております。
そして、ついに
『良し!自分で行ける所まで頑張ってみよう!』
と心に誓って【特許願】の書類を自分で作成することを決意しました。
2014年9月のことです。
特許庁の職員の方から『頑張って下さい!』と言っていただいた特許関連の書類の数々・・・・。
特に冊子に関しては数百ページに及ぶので、それら全てに目を通していたら途方もない時間がかかってしまいます。
そこで最短ルートで書類を作成するために “模倣から始める” こととしました。
特許情報プラットフォームで、過去の特許情報などは調べることができるので、自分と同じような案件を探して読み込みました。
何件もの案件を見ていて感じたのは、‘全ての案件が全く同じ書き方をしているわけではない’ ということでした。
もちろん絶対に外してはいけない部分もあるのですが、それ以外の部分では割合と自由がきくと思ったので、過去に自分と似たような出願をされている方々が提出した特許願をいくつか抜粋して、自分が書きたい形式に近いものをお手本として書類作成を始めました。
特許願の手引き冊子を見ながら、(たしか特許庁のホームページにも特許願のひな形があったようにも記憶しています)過去の方々の特許願なども参考にしながら書類の作成を続けていきました。
ご自分で作成される方の参考になればと思うので、だいたいの骨組みをご紹介します。
【特許出願書類概要】
【書類名】一枚目は特許願 二枚目は明細書
【発明の名称】*特許書類では全て発明という言い方をします。
【技術分野】何に関するものなのか記載
【背景技術】自分の発明と対比する為に、過去の特許文献に関するものを記載(出来るだけ肯定的な言い方をした方が良い)
【先行技術文献】その1でお話していたものです。
【特許文献】背景技術でふれた特許文献の特許公開の番号を(メモしておいて)それぞれ記載。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】先行技術文献を引き合いに出して、本発明の新規性を記載する。
【0005】*技術分野以降それぞれ見出しの下に【】内に0001から連番で段落ごとに記載する。自分の場合はここで0005でした。
【課題を解決するための手段】*出来得る限り、考えられる全てのものをできるだけ沢山記載すること。
【発明の効果】*こちらもアピールポイントなので出来るだけ多くの情報を記載すると良い。
【図面の簡単な説明】添付する図面をそれぞれ簡単に説明。
【発明を実施するための形態】*ここでも、その形状を考えられる全ての形態で記載することをお勧めします。
【産業上の利用可能性】産業上の利用可能性を記載
【符号の説明】図面に記載した符号の説明
◆【書類名】特許請求の範囲
◆◆特許の心臓部で、ここに記載されていることが “特許そのもの” です。
◆◆特許請求の範囲で記載されていることは、発明の課題や手段、効果や形態で述べられていないものは無効になります。ですので特許請求の範囲よりも多くの情報を記載しておかなければなりません。
◆◆◆特許願において(審査に入ってしまうと)多く記載した情報を縮小することはできますが、広げることはできません。ですので最初は出来るだけ大きくその権利を広げておいた方が良いですが、広げ過ぎて過去の案件と被ってしまってもいけないので、この辺がとても難しいところです。
【書類名】要約書
【要約】
【課題】要約した課題を記載
【解決手段】要約した解決手段を記載
【選択図】代表的な図を一枚選択
大体の特許願の骨組みとしては、こんな感じです。
【特許願の作成時のポイント】
ポイントとしては、とにかく考えられること(頭に浮かんだアイディア)を一つでも多く書き留めることです。
【発明が解決しようとする課題】
【課題を解決するための手段】
【発明を実施するための形態】
それぞれのの部分で書洩らしがないように、何度も何度も練り直し、書き直したり書き足したりして納得のいくように(後悔しないように)すると良いと思います。
ただ、何よりも重要事項は、特許出願は同じ案件であれば一秒でも早くに提出した者勝ちなのでスピードも大切です。
細かい補正などは後からでも出来るので、ある程度考えられるアイディアを書き記したなら<発明協会>(発明会館)なり<特許庁>なり<弁理士>なりを訪れて専門家の意見を聞きながら書類を仕上げて一日も早く提出されることをお勧め致します。
詳細は特許庁のホームページで調べることができますので、ご自分でチャレンジされる方は頑張って下さい!
さて、そんな模倣から始めた特許願の作成ですが、その後も何度も発明協会(発明会館)へ通い続けて自分の作成した書類に対してお褒めいただいたり、叱咤されたりなど一喜一憂する日々が続きました。
そしてある日、特許庁の職員に方の意見も伺いたいと思って特許庁を訪れますが、その時に職員の方から『特許願として少しずつ固まりつつあるので、専門家である弁理士さんの意見を聞いてはどうか?』そう言われて紹介していただいたのが、特許庁からほど近いところにある【弁理士会館】でした。
その【弁理士会館】に何十回となく通い詰めていくうちに<運命的な出逢い>をさせていただく事になろうとは、このときは夢にも思いませんでした。
つづく
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-4-2
03-3519-2707
【Re-Bone Wallet リボーンウォレット/特許出願編】
【01】“始動”<最初の一歩>
【02】“発明協会(会館)”<続けることによってひらけてくる道もある>
【03】“模倣から始める”<先人たちの礎>
【04】“弁理士会館と商標登録”<一期一会>
【05】“特許出願”<背中を押してくれたひと>
【06】“国内優先権の主張”<ひとりでは何処にもいけない>
【07】“運命的な出会い”<縁(えにし)>
【08】“諸刃の剣”<戦略としてのグレー>
【09】“面接”<淡い期待>
【10】“最初の拒絶通知”<余命数ヶ月の宣告>
【11】“原点に戻る”<実より名を取るー桜の咲く季節>
【12】“最後の面接”<ひとりではない>
【 ∞ 】“感謝の気持ち”<恩返しと恩送り>
【2022】◆ひとりで特許出願〜その後の話〜◆
◆製品開発と同時進行で行っていた、特許出願までに至る経緯とその後のことなど特許情報などを含めて掲載しています。
◇特許にまつわる情報(特許庁や発明会館、弁理士会館や商標登録等)を掲載しておりますので、ご自分で第一歩を踏み出そうと考えていらっしゃる方のご参考になればと思い執筆致しました。
【Re-Bone Wallet 製品開発編】
こちらのページはRe-Boneの軌跡をまとめたページになります。
内容はRe-Boneのコンセプトを 始めとして、Re-Bone Walleの開発秘話、
レザーの知識やメディア掲載情報など、Re-Boneのすべての情報がご覧になれます。